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創業107年の老舗製造業が1年でkintoneをグループ展開できた理由

ソース:深圳市鑫雅精密五金制品有限公司 発売日:2018-01-20
大阪で開催されたサイボウズのkintone hive osakaでは、造船事業を中心に13の事業会社を統轄するサノヤスグループのkintone活用が披露された。  2018年5月17日、大阪で開催されたkintone hive osakaで導入事例を発表したのはサノヤスグループの木村則彦氏。13の事業会社を抱える製造業グループにおいて、IT部門の関与なしに、kintoneを1年でグループ展開できた理由はなにか? kintoneの活用法のみならず、導入の工夫、組織の立て付けなど、さまざまなノウハウが得られたセッションを紹介する。請求書の遅延はなぜ起こったのか? 現場にヒアリングした結果  今年で創業107年目を迎えるサノヤスグループは1911年に造船業として大阪で創業。現在は作業船やタンカーなどの造船と貯蔵タンク・ガスタンクなどのプラント事業を手がけるサノヤス造船のほか、M&Tグループの各事業会社が工事用エレベーター、立体駐車場、精密加工、機械製造、レジャー事業など多彩な事業を手がけている。    今回登壇した木村氏は、持ち株会社であるサノヤスホールディングスの「ものづくり・安全推進部」に所属しており、M&Tグループの事業会社において、ITを用いた業務改善や安全対策などを手がけている。「事業会社は規模も大きくないので、なかなか現場の業務改善まで手が回らない。そういった業務改善をホールディングの立場で、グループ内で横串を挿しながら推進しています」(木村氏)という役割だ。    kintone導入のきっかけは、空調設備の修理を手がける事業会社で請求書の発行が遅れるという課題が顕在化したからだ。現場にヒアリングしたところ、その事業会社では請求書に工事報告書を添付しているのだが、数多くの工事現場の写真を整理するのが大変で、工事報告書の作成が遅れがちになっていた。また、請求書を作成する本社も、報告書の作成がどの程度進んでいるのかを把握するのが難しかったという。   導入の不安を解消する3つのノウハウ  こうした課題を解消すべく導入された工事報告書システムは、撮影とメモ書きをタブレットで行ない、そのままkintoneに登録してしまうというもの。従来、帰社してから作成していた工事報告書を現場で作ることができ、kintoneからExcelの定型フォームに出力できるようになっている。そのため、事務所ではプリントアウトして、本社に提出すれば作業完了だ。    とはいえ、導入に際しては作業のハードルを下げる努力が必要だった。「使い慣れてないタブレットを現場に持ち込むことには抵抗感もあったし、かえって業務効率が落ちるのでは?という不安もあった」(木村氏)とのこと。そのため、「業務の見える化」「業務と部門を限定したスモールスタート」「グループ運用による負担の軽減」などを進め、現場の不安を解消したという。    特に業務の見える化は、現場部門と管理部門のギャップを埋めるために重要な作業だった。「現場とわれわれでは使っている言葉も違う。担当者単位で異なることすらある。だから、模造紙に実際の伝票や帳簿を貼り付けて、業務の流れを見える化した」(木下氏)。また、kintoneのサンプルアプリを入れてもらって、導入後の利用イメージを持ってもらったという。    これを皮切りに、グループ内の各事業会社でkintone導入が進められ、ある事業会社では不具合情報データベースを検討開始から2ヶ月で構築。また、別の事業会社では作業報告をタブレットで実現し、工場の見える化も実現した。現在、kintoneを本格導入しているのは3社で、1社がトライアル、もう1社が導入を検討している状態。「1社目の導入が昨年の7月だったので、まだ1年経っていない。スピーディな展開と言えると思います」と木下氏はアピールする。しかも、こうした導入作業がIT部門の関与なしで、現場主導で進められたのも大きな特徴だった。   1年経たずにグループ内に展開した背景は?  なぜこのようにスピーディな展開が実現したのか? 木下氏は、「もともと業務のIT化が遅れており、『ネタ』の宝庫だった」「現場とシステム部門をコーディネート組織ができた」「簡単に見るかできるツール、現場部門で運用できるツールを導入できた」という3点を挙げる。加えて、各事業会社のシステムをマルチプラットフォームで利用できたことも大きかった。「今回の3社で利用しているタブレットはiPad、Android、Windowsとそれぞれ異なっている。現場ごとのニーズに応えられた」(木下氏)とのことで、クラウドならではの柔軟性があった。    現在の課題としては、kintone技術者の養成と現場主導による導入の推進が挙げられる。「現状、kintoneでアプリを作れるものが3名しかいないので、技術者を育成していきたい」(木村氏)。一方で現場主導でのIT導入が進みすぎると、ITガバナンスに問題が生じるため、両者の整合性をとっていく必要があるという課題も挙げられた。最後、木下氏は「kintoneをグループ全体のプラットフォームの1つと位置づけ、基幹システムと連携しつつ、グループ会社の経営を支援するツールとしてさらに活用していきたい」とまとめた。    


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